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Vol.23 平成19年度税制改正の概要
平成19年度税制改正の概要
平成19年04月01日から既に施行されている「平成19年度税制改正」のうち、中小企業・
個人に関係する改正で重要と思われる思われるものを説明します。
◇ 減価償却制度
今回の改正により、19年4月1日以降に取得した資産は、備忘価格の1円まで償却可能になる
ほか、既存設備についていも償却可能限度額に達した期の翌事業年度から5年で1円まで均等
償却を認めることで、取得価格の全額償却が可能となります。
(1)平成19年度04月01日以後に取得する減価償却資産
・ 残存価格の廃止
・ 定率法の償却率を「定額法の償却率×2.5」
・ 償却可能限度額を廃止し、耐用年数の経過時点に1円(備忘価格)まで償却可能
・ 定率法を採用している場合には、定率法により計算した減価償却費が取得価格
に保障率をかけた金額を下回る場合、改正償却率による定額法に切替て計算する。
例) 取得価格 100万 耐用年数7年 定率法償却率 0.357
保障率 0.05496 改定償却率 0.5
1,000,000*0.05496 54,960-
残額 償却額
1年目 1,000,000- 357,000-
2年目 643,000- 229,551-
3年目 413,449- 147,601-
4年目 265,848- 94,907-
5年目 170,941- 61,025-
6年目 109,916- 39,240- ←保障率割込
6年目 109,916- × 0.5 (改定償却率)
54,958-
7年目 54,958- 54,957- 残 1-
◇ 法人税関係
同族会社(資本金1億円以下)の留保金課税の撤廃
平成19年04月01日以後に開始する事業年度から、資本金の額又は出資金の額が1億円以下で
ある法人は、この制度から除外される事となります。
事前届出役員給与の届出期限の緩和
事前届出役員給与について、その届出期限が役員給与に関する決議をする株主総会等の日
から1ヶ月を経過する日となります。
オーナー役員給与の損金不算入基準の緩和
平成19年04月01日以後に開始する事業年度からオーナー会社のオーナー役員給与の一部を
損金不算入とする制度について、除外判定となる基準所得金額が800万から1600万円に引き
上げられます。
平成18年04月〜平成19年03月の間に開始する事業年度については、800万円のままなので
注意してください。
事業年度の開始日 | 基準所得金額*(注意) |
平成19年04月01日以後 | 1,600万円 |
平成18年04月01日から平成19年03月31日迄 | 800万円 |
*(注)基準所得金額とは前期、前々期、前々々期の法人所得オーナー役員の給与を加算した金額の平均額のこと。
リース取引の整備
平成20年04月01日以後に契約される所有権の移転しないリース取引は、原則として、売買
取引とみなされ、リース相当額が減価償却費として取り扱われます。この改正により消費税
の取り扱い上ではリース資産を取得した時点でリース料全額が課税仕入れとなります。
また、リース税額控除制度が廃止され通常の税額控除制度が適用されることとなります。
但し、特別償却制度や圧縮記帳制度は適用されないようです。
*所有権が移転しないリース取引とは??
・ 解約不能リース期間中のリース料総額の現在価値が、借手がリース物件を現金購入すると仮定した場合の合理的な
見積金額がおおむね90%以上であるリース取引
・ 解約不能リース期間がリース物件の経済的耐用年数のおおむね75%以上であるリース取引(ただし、上記の判定結果
が90%を大きく下回ることが明かな場合を除く)